近くの海岸から観察してみよう

私たちが本格的に城ヶ島で定点観察するようになったのは2004年からです。前年の春に陸上からオオミズナギドリをカウントしていると、次々にウミスズメ類やトウゾクカモメ類が西から東へ通過して行きました。これまで、この地域においてこうした海鳥たちの移動はほとんど知られておらず、これは本格的な調査が必要そうだと思い、海鳥好きなメンバーが集まり翌年から調査を開始しました。初年度の04年は想像以上の多種多様な海鳥たちが移動しているのがわかりメンバーも驚きの連続でした。今まで見ていなかったのがもったいないくらいです(!)。これからも継続して調査していくことによりいろいろなことが明らかになってくるでしょう。こうした海鳥たちの移動は城ヶ島沖にだけに見られるのでしょうか。いいえ、おそらく太平洋に面する海岸では多少なりとも移動が行われているはずです。現に三浦半島のお隣になる房総半島の先端ではいくつか同じ種類の海鳥が観察されました(→Report)。国内では海上の鳥の種類や個体数、渡りのルートと言った基本的な情報は、陸上の鳥たちに比べると分かっていないことばかりです。こうした不明な点を解明していくことは、彼らを守っていく上でとても重要なことです。みなさんのお住まいの近くにある半島の先端や良い漁場のある湾内といったところでは、人知れず海鳥たちが移動しているかもしれません。



トウゾク・盗賊・とーぞく! 「目次」 必要な道具と観察のコツ