渡りを記録する

せっかく海鳥を見たのなら、ちゃんと記録をとったほうがいいに決まっています。特にこれまで記録の少ない海鳥ではなおさらのことです。私たちの記録方法 は、記録用紙を作成してそこに、海鳥の種類と個体数、それぞれの通過した方向、着水の有無などを20分ごとに記録しています(→記録用紙)。 個体数があまりに多いオオミズナギドリについては20分内のどこかで5分程度カウントし、その数を20分分に換算するという方法を実験的にとっています。 観察する範囲は予め決めておいたほうがいいでしょう。沖はどこまで記録するかは難しいですが、私たちでは識別できたものについては全部、できなかったもの についても分かる限り、たとえばウミスズメ類などと記録するようにしています。観察時間や天気といった基本情報のほかに、風向や風力、波高や視程などの気 象条件を記録しておけば、あとで渡りの傾向を分析するのに役立つかもしれません。インターネットを利用すれば、関東近県であれば、海水温など海況のわかる ウェブサイトもあります。いずれにしてもできるだけ細かい情報を記録しておけば、のちのち役に立つでしょう(記録用紙の2ページ目の記入例を参考にしてく ださい)。

渡っていく海鳥たちの様子を写真やビデオに収めてみたいという方もいるでしょう。しかし、肉眼では見えないような遠く離れた海上を通 過する海鳥を撮影するのは容易ではありません。そんな遠くを飛ぶ姿を、たとえ1000mmクラスの超望遠レンズを装着した銀塩カメラで撮影しても、納得い く写真が撮れそうもないことはファインダーをのぞいた時点でわかってしまうことです。ビデオは比較的高倍率で動画が撮影できるため、羽ばたきの様子など行 動を記録するにはいいでしょう。ただし、写真ほど画質が鮮明ではないため、画像から種類を識別するにはあまり向いていません。最近では、望遠鏡にデジタル カメラを装着して撮影する、いわゆるデジスコが普及してきており、訓練すれば驚くような高倍率で識別も可能な精細な写真が撮影できるかもしれません。主に 海上で生活する海鳥の写真は撮影難度が高いためか陸上の鳥に比べて記録が少ないと思われるので、ぜひ最新の機器を駆使するなどして撮影にチャレンジしてほ しいものです。



必要な道具と観察のコツ 「目次」 海鳥以外の楽しみ